【腰痛って筋肉が痛い?腹筋が弱いの?!】
2019/09/21
じつは、腹筋と腰痛の因果関係はありません。
それは腰の関節を支えるのは腹筋や背筋ではなく、腹圧というお腹の圧だからです。
ですから、このお腹の圧が上手く使えない人は、腰の骨のしなりに頼ってしまうため、
いつしか限界が来ると痛みが出てしまうわけです。では、痛みがなかったら問題は無いかといいますと、
痛みが出る前には、必ず、筋肉の張りが出現します。医学的には筋スパズムといって、
緩めようと思っても緩ますことができない状態です。これは背筋のみならず、
腹筋にも存在することが少なくありません。
(中には胃痛の原因になっている人もいます。みぞおちを軽く押して過剰に痛いときはそうかもしれません)。
世間的には長引く腰痛では、筋肉に問題があり、
筋膜性腰痛など診断などつくことがありますが、そのような病気は無いといってもいいと思います。
一流の医師であれば、筋膜に麻酔注射をして、痛みが消えるかどうか確認します。
この結果、消えるものはなかったそうです。私の20年の経験上も筋膜性腰痛は見たことがありません。
筋肉が痛い場合であっても、その引き金は関節にあり、
引っかかると周りの筋肉の張りが起こるというメカニズムになっています。
その証拠に、関節の引っ掛かりをタウトニングという技術で取れば、即座に筋肉の張りは、正常化します。
しかしながら、物理的な負担が腰にかかるとまた筋肉に張りが出現してしまいます。
懸命に身体(腰)を守ってくれるわけです。ですから、正常になった後は、
負担がなるべくかからないように過ごしたり、まめに腰の関節を動かしたりする必要があります。
前者は、長時間の座り仕事や移動においては、深く腰を掛けて、骨盤が倒れないようにするだけで違ってきます。
後者は大きく動かすのではなくヘソを移動させる程度の比較的小さな動きをするといいです。
理想的には30分に5秒程度でいいです。だまされたと思ってやってみてください。
どうしても再発していけない場合や自己管理したい場合には、
当オフィスでは再発予防体操というリセットさせる方法も指導させていただいていますので、ご相談下さい。
とはいえ、身体の筋肉を付けたいといった場合、仰向けになった姿勢で、
足首を押さえてもらって上半身を繰り返し起こす腹筋運動をしている方も少なくありません。
体育の授業や運動クラブの基礎練習などを思い出す人は多いでしょう。
今でも健康のためにと毎日続けている人がいるかもしれません。
じつはこの腹筋運動、お腹の筋肉である腹直筋を鍛えるためにはあまり効率的な運動とはいえません。
それどころか、筋力が足りないと腰が痛くなる可能性がある動きです。
一般的に腹筋といわれている筋肉は腹直筋のことです。体幹部を屈曲させる働きがあります。
おじぎ動作では、重力を使うのでほとんど腹筋は使いません。仰向けのときに働くということになります。
上半身を起こす筋力がない人が、仰向けの状態から無理に腹筋運動をしようとすると、腰が痛くなることがあります。
腹筋の筋力が足りていないか、腹筋が使えていないかのどちらか、あるいはその両方が理由として考えられます。
腹筋を効果的に鍛えるためには、上半身を起こす動作は必ずしも必要ではありません。
腰痛を予防するためには上半身を”起こさない”腹筋運動がお勧めです。
まず床に仰向けになり、膝を曲げることで腰が反りにくくなります。
次に、骨盤を後傾させることで腰椎がしっかりと床につき、それによって腰が反りかえる動きが予防できます。
上半身を起こすのではなく、腰を支点にして、胸から上だけ、肩甲骨を床から浮かすようにするのがコツです。
また、アゴが上がると背筋が伸びやすくなるので、頭を起こしてアゴをしっかりと引いた状態を作り、
首から腰にかけての背骨全体が一本の弧を描くようにします。その後、上体を床におろしてこれを繰り返します。
一回目と同様にできなくなったとき疲労していますので、その疲労が起きるまで繰り返しましょう。
腰痛予防というよりは、腹圧のコントロール(間接的に腰部の負担軽減)や
全身の代謝を上げるためにするという目的にするといいと思います。
さいごに繰り返しになりますが、筋肉の量と腰痛の関係はないので、
最初は関節の引っ掛かりをとることが最優先されるべきです。