2021/11/01
筋膜リリースって効果ある?
筋膜にはほとんど作用しない…
「ここに来れて本当に良かった」と1年2ヶ月ぶりに来られた50代女性会員さん。近くの整体に二つ行って、一つは筋膜リリースの施術だったそうです。これが痛く、拷問だったと。主症状は右臀部の張りと前屈位での左腰部痛でした。みてみますと、右ハムストリングスのスパズム、左腰方形筋のスパズムがあり、その原因は、それぞれ腰仙関節、第十二肋椎間節の機能老化でした。これはタウトニングという施術で即座に改良されました。
さて、筋膜リリースについて少しお話しします。
結論から言いますと、痛みだけの筋膜リリース施術は意味はありません。筋膜がゲル化した部位を改善させる手段として、過去の受傷起点から紐解いていく手法はまだしも、ただただ痛いだけの素人施術が蔓延っています。皮膚から筋膜までの距離も知識もなければ、皮膚を介して筋膜までどのぐらいの力を要するか知らない人がほとんどです。では実際どのぐらいの力が必要かというと、600kg〜800kgと言われています。実際しようと思うと、走って跳び乗るぐらいでないと難しいです。動物の肉を捌いたことがある人は当然のように理解しています。皮膚を操作するぐらいで作用させることは難しいですし、ましては、調整というのは困難を極めます。ですから、変化が起きたとしましても、筋膜に作用しているとは考えにくく、他の理由で良くなったということになります。その多くは30分以内に元の木阿弥になってしまいます。
かなり痛かったけど、良くなったという人もいると思います。これはβエンドルフィンなどの神経伝達物質が脳内に分泌されて、回復力を助けてくれた場合に限ります。確率的には悪化するリスクに方が高くなります。痛みは侵害刺激で、逃避を促し身体を守りモードに変えていきます。そのため、筋肉の張り(スパズム)が出現したり、増強されたりします。ですから、基本的には痛みを乗り越えて良くなることはありません。筋膜剥がしローラーや筋膜剥がしガンとかも同様な理由で効果は難しいです。脳に騙されずに、機能改良度でみていくことが医学的に価値があると思います。